日本国 令和憲法 草案

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、この国の全土にわたる自由のもたらす恵沢を確保し、再び戦争の惨禍が起こることのないよう決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

そもそも国家とは、暴力と強制を法律という文言によって正当化する装置に他ならず、多くの国民は知らぬところで、あるいは生まれる以前に制定された法によって既に束縛されている。民主主義とは、多数が少数の権利をも尊重することによってはじめて完成するものであり、多数の思想をもって少数の思想を否定することは、断じて許されない。権利の衝突により一方の権利の制限が避けられぬことはあるが、それは多数の不快感を理由に少数の権利を制限することを容認するものではない。権利とはお互いに認め合うものであり、生命・人権その他重大な私権への侵害を防ぐためでなければ、制限を課さないことが望ましい。

よって我が国は、何人も自由に生きることを妨げられず、温情主義的な権利制限を行わないことをここに誓う。自由のためにより制限の少ない代替を選択し、保護される法益と許容される危害の限度を正しく衡量した上で立法を行い、正義のために存在することを、国民とともに目指す。

第一章 主権と国民

第一条

  1. 1 国民は、主権を有する。
  2. 2 有権者は、18歳を迎えた全ての国民とする。
  3. 3 有権者は、選挙権を有す。この権利の行使は、妨げてはならない。

第二章 基本的人権

第二条

  1. 1 国会は、人類が生まれつき有する人畜無害な権利を制限する法規は、これを制定してはならない。
  2. 2 国会は、門地、性別、人種、嗜好、思想、信条、社会的身分により、政治的又は経済的又は社会関係において、差別する法規は、これを制定してはならない。
  3. 3 人類が有す普遍且つ自然的な自由の権利は、行政その他立法において最大限の尊重を必要とする。
  4. 4 他人の有す権利が害されんとする時で、その権利を保護するために制限される権利は、その権利の程度が保護される権利の程度を超えない時に限って、必要最小限度且つ有限に限って、これを法律で行うことが出来る。但し、多数の人の権利を持って合算し、その程度が大きいとすることは、いずれにしても、これは認められない。

第三条

  1. 1 憲法における特定の権利の列挙は、国民が保有する他の権利を否定または軽蔑するものと解釈されてはならない。
  2. 2 前条の規定は、包括的に自由の為の権利を認め、その原則たる理念を書き記すのであって、権利の制限を推奨するものと解釈されてはならない。
  3. 3 法律による権利の列挙は、憲法の権利に反しない限り、憲法による権利の列挙と同等の扱いを受けなければならない。

第四条

  1. 1 何人も、法律に定める資格を有する弁護人に対し、その弁護を依頼する権利を害されはしない。
  2. 2 刑事事件において、弁護人を雇用する財力等を有さず、又は、被告人が望んでも弁護人に依頼することが困難であった場合、国にて弁護人を付さなければならない。
  3. 3 弁護人は、弁護対象を弁護し、弁護対象の利益となるように行動しなければならない。

第五条

  1. 1 生存のための権利は、これを害されない。死刑及び終身刑の刑罰は、これを禁ずる。
  2. 2 拷問及び残虐な刑罰は、これをしてはならない。
  3. 3 何人も、直ちに理由を告げら、法律の定めによる事由によらなければ、その自由を制限されはしない。
  4. 4 何人も、司法による判決によらなければ、その意に反する屈服に晒されず、その自由を奪われはしない。
  5. 5 何人も、誤って自由を制限され、又は、その意に反する屈服に晒された場合は、名誉及び精神的に対する損害及び経済的及び社会的な損害の補償を、国に求めることが出来る。国は、この保証を為さなければならない。

第六条

  1. 1 表現の為の自由及び出版の自由、又は、結社し、団結する権利はこれを害されない。
  2. 2 通信の秘密、及び、信書の秘密は、侵されることはない。
  3. 3 法律の定めによる事由により、裁判所がこれを承認しなければ、不当に捜索され、又は、その秘密を侵されはしない。
  4. 4 公益の為により、法律の定めに基づき、行政がこれを承認しなければ、何人も、その所有権を侵害されはしない。それがため、法律の定め若しくは行政の承認が違法であると訴え、裁判所の審判を受ける権利は害されない。且つ、行政は、所有権を有する者が、裁判を提起し、その所有権を守れるよう、猶予を与えなければならない。
  5. 5 何人も、穏便に請願し、又、司法に紛争の解決をゆだねる権利は、これを害されない。

第七条

  1. 1 国は、他者に対して直接の危害が無い何人の行為は、これを罰するべきではない。
  2. 2 国は、他者に対して悪影響が予見される何人の行為は、これが為、罰するべきではない。但し、それがため、その行為を違法とせず、且つ、妨害しない程度の規定を設け、従うよう求めることが出来る。

第八条

  1. 1 一般に流通し、誤った場合に、社会に重大な悪影響を及ぼすと予見される特定の物品に限っては、その販売及び扱いを免許制にするのは、妥当な範囲で、認められる。
  2. 2 前項に言う、社会に対する重大な悪影響とは、当該が流通することで、誤って実害が発生し、若しくは容易に周囲に実害を及ぼす場合とする。また、実害とは、物理的に暴力的若しくは肉体的損害等を伴うものに限る。

第九条

  1. 1 何人も、司法、立法、行政等国家及び自治体の機関に対し直接取材し、関係者から聴取し、公平に知る機会を妨げられない。

第十条

  1. 1 正当な業務により、生命を救命する為に、必要最小限度の範囲で、救命される者の信教を害する行為は、それが救命のための手段として必要且つ妥当だと社会通念に照らして明白であれば、これを行う事により、信教を害したとしても、その旨刑事及び民事の責任を負わない。
  2. 2 前項の場合で、救命される者、又は、その保護者の立場にある者が、信教を尊重するよう求め、若しくは、救命される者が特定の医療行為を信教によって拒否していると明白だった為に、救命のために必要な行為を行う判断を行えなかった場合でも、刑事及び民事においてその点の責任は負わない。

第十一条

  1. 1 個人が業とせず行う行為で、その行為又は行為による成果物が、誤って流通した場合に社会に多大な影響を及ぼし危険が発生する場合を除き、一切の行為は、基本認められねばならない。
  2. 2 前項による成果物等が、正しく作成されなかった場合は、危険を伴う場合は、免許等で統制しても良い。但し、免許を著しく高額にし、若しくは、取得不可能にしてはならない。
  3. 3 個人が業として行う行為、及び、法人が行う行為である場合は、その程度に照らして適切な免許を必須としてよい。

第三章 国会

第十二条

  1. 1 立法権は、正当に選挙された議員により、国会が、これを行う。
  2. 2 国会は、衆議院及び参議院にてこれを構成する。
  3. 3 如何なる法規も、これが公布されなければ、効力を有しない。
  4. 4 衆院は、法案を過半数で発議し、参議院が過半数で承認することで、これを立法することが出来る。
  5. 5 前項において、参院が否決した場合でも、衆院の3分の2の賛成によって、これを立法することが出来る。
  6. 6 議決は、定数を分母とする。
  7. 7 定数及び任期は、衆院795議席の4年とし、参院448議席の6年とする。
  8. 8 議員は、議決に参加する機会を妨げられない。
  9. 9 議決において、投票済みの賛成票が、定数のうち可決に必要な数を超えていた場合、未投票の議員による投票を待つ必要はない。
  10. 10 議決において、未投票の議員による投票を待たなければ、前項による可決を行えない場合は、その投票を待たねばならない。
  11. 11 内閣に対し、不信任を提出し、内閣を解任するには、衆院若しくは参院で3分の2の賛成があった場合、又は、両院で過半数の賛成があることを必要とする。
  12. 12 内閣は、前項において不信任が可決された場合は、速やかに総辞職を行う。
  13. 13 内閣は、衆院に限って、これを解散することが出来る。
  14. 14 参議院は、三箇年毎に、定数の半数を選挙する。欠員が生じた場合の補充は、この選挙において、次の各号の定めるところによりこれを行う。但し、補充された議員の任期は、前任者の残任期間とする。
    • 一 前任者が比例代表制により選出された者であるときは、直近の選挙における当該比例代表名簿の次順位者をもってこれに充てる。
    • 二 前任者が選挙区制により選出された者であるときは、当該選挙区における当選者のうち、最も得票数の少ない者をもってこれに充てる。
  15. 15 衆議院の定数のうち、395議席は比例代表制により、残る400議席は選挙区制によりこれを選出する。
  16. 16 参議院の定数のうち、224議席は比例代表制により、残る224議席は選挙区制によりこれを選出する。
  17. 17 何人も、両院に所属することは出来ない。
  18. 18 議員は、文民でなければならない。

第四章 内閣

第十三条

  1. 1 行政権は、衆院の指名により内閣が、これを行う。
  2. 2 内閣総理大臣は、国会の指名により、これを任ずる。
  3. 3 内閣総理大臣は、大臣の人事権を有し、これを行う。
  4. 4 内閣は、地方自治体に対し、行政権を委任することが出来る。

第十四条

  1. 1 内閣は、条約に署名するには、国会の承認を要する。

第五章 司法

第十五条

  1. 1 司法権は、最高裁判所が有する。
  2. 2 裁判官は、国会の指名と内閣の承認により、これを任ずる。
  3. 3 最高裁判所は、法律の定めによって、下級裁判所に司法権を委任できる。
  4. 4 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
  5. 5 裁判官は、憲法と法規のみに束縛される。
  6. 6 裁判官は、司法を独立させ、何人の権利が守られるよう、努めなければならない。
  7. 7 裁判官の任期は、これを10年とする。但し、5年ごとに有権者による審査にかけなければならない。

第十六条

  1. 1 裁判所は、特段具体的な事案が無くても、一切の法令が抽象的に解釈された際に、憲法に違反するかしないかを審査し、判断を行う権限を有する。
  2. 2 国家による法律の定めによらない一切の法律の行為は、原則として、その効力を認めない。
  3. 3 国家は、行政において、設定した一切の規定その他規則等に関し、その解釈を一方的に国民やその団体に任せ、その要請があった場合に責任を持って解釈を提示しないことは、あってはならない。

第六章 統治の原則

第十七条

  1. 1 全権委任その他の類似の法律は、これを定めてはならない。
  2. 2 司法権は、当然、裁判所以外には、委任することが出来ない。
  3. 3 非公開の裁判所は、これを認めない。
  4. 4 立法権は、当然、国会以外には、これを委任できない。
  5. 5 国会は、何人も、国会の運営を妨げぬ限り、傍聴できねばならない。
  6. 6 裁判は、何人も、裁判の進行を妨げない限り、傍聴できねばならない。
  7. 7 裁判を傍聴する者は、裁判官の指示に従わねばならない。
  8. 8 被告人や原告人の名誉の権利を含む権利を保護する為であれば、裁判官は、傍聴者に対し、傍聴内容の他言は必要最小限にとどめるよう、求めることが出来る。民事に関しては、これを必要な場合に限り、禁ずることが出来る。

第七章 安全保障

第十八条

  1. 1 日本国は、自国と同盟国を防衛し、その独立を維持し、又は、人道的な支援及び現状を回復するために、陸海空その他法律で定める戦力を有する。
  2. 2 侵略戦争の為の軍は、これを有しない。
  3. 3 軍は、内閣が指揮権を有す。指揮権は、必要に応じて、法律の定めによるふさわしい階級の将校等に、これを一部委任することが出来る
  4. 4 内閣を構成するべき大臣は、文民でなければならない。
  5. 5 国会の議員は、文民でなければならない。
  6. 6 裁判所の裁判官は、文民でなければならない。
  7. 7 元軍人であることは、文民であることに影響しない。それがため、守秘義務等法律で定める義務は、免れない。

第八章 財政

第十九条

  1. 1 税を課すのは、国会の定めた法律によらなければならない。
  2. 2 税は、その公布から3月は、これを施行できない。
  3. 3 減税については、前項の規定は適応しない。
  4. 4 税を支払う能力が無く、又は、それだけの経済的余裕のない者からは、税を徴収してはならない。
  5. 5 何らかの行為に関し、一般に支払いが不可能若しくは一般人が支払うことを想定しないような税を課し、その税が間接的に何らかの行為を行う事を脱税とするような状況は発生させてはならない。

第九章 最高法規

第二十条

  1. 1 日本国が署名した一切の条約は、この憲法に優先されることは無い。

第二十一条

  1. 1 憲法の前文は、憲法の理念を示し、一切の条項の解釈にあたっては、最大限の尊重を必要とする。
  2. 2 裁判所は、特定の法令が、憲法の前文の理念に真っ向から反し、憲法の規定により正当化されない場合は、違憲と判断することが出来る。
  3. 3 違憲か疑わしく、人権の制限の妥当性が危うい時は、人権は、制限してはならない。

第十章 改正

第二十二条

  1. 1 憲法の改正は、国会の上院及び下院の両院において定数の3分の2の賛成によってこれを発議し、有権者の3分の2の賛成によって、これを直ちに公布する。
  2. 2 憲法の改正は、修正条項としてこれを追記する。但し、改正憲法がその点を変更した場合は、その限りではない。